不動産(マンションや戸建てなど)を売却したときには税金がかかるということはご存知ですか?今回は実際にどのような税金がかかり、またどのような特例でその税金を控除できるのかについてご紹介します。
一般のサラリーマンに馴染みの税金といえば、毎月給料から引かれる所得税や住民税、買い物をしたときにかかる消費税などでしょうか。その他にも事業をされている方はご存知だと思いますが、収益を手に入れた際には所得として扱われ、税金がかかることになります。住宅を売却したときには、売却益は譲渡所得として所得税や住民税の対象になります。
課税対象となる譲渡所得は売却益(売却して得た利益)ですので、以下の式で表せます。
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売却益=売却価格−(購入価格+購入時の費用)―売却時の費用
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つまり、売却した際の価格から、購入時の価格と購入時・売却時にかかった諸費用を差し引くことができるので、購入時より大きく値上がりした際に譲渡所得がかかることになります。
一方で、購入時より値下がりしているケースでは、損失を出したとして扱われ、「譲渡損失」として、他の所得から相殺することができる制度がもあります(譲渡損失の特例)。
では、実際にかかる税金はどのくらいになるのでしょうか。
売却した年の1月1日現在にその不動産を所有していた期間に応じて、下記のように分類されます(2013年から2037年までは復興特別所得税として所得税に2.1%が加算されます)。
・所有期間5年以下
39.63%(所得税30%+復興特別所得税0.63%+住民税9%)
・所有期間5年超
20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)
・所有期間が10年超のマイホーム
長期間住んでいたマイホームの場合は特例で減税され以下のようになります(譲渡所得6,000万円超の場合には減税の対象になりません)。
譲渡所得6,000万円以下の部分:14.21%(所得税10%+復興特別所得税0.21%+住民税4%)
譲渡所得6,000万円超の部分:20.315%(5年超の場合と同じ)
ここで注意が必要なのが、対象となる所有期間は「1月1日時点でカウントされる」という点です。特に1月に購入した場合には、5年後の12月には実際には5年11ヶ月経過していますが、まだ4年の扱いになるため、何回年をまたいだかということが重要になります。
・自宅の場合には譲渡所得から3,000万円を控除
「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」というもので、居住用財産(マイホーム)を売却した際の譲渡所得から3,000万円を差し引くことができます。
ただし、この特例は前年・前々年に適用を受けていると利用できない。つまり3年に1度しか適用を受けることができません。また、後述する買換え特例や前述した譲渡損失の特例、新たに購入した自宅の住宅ローン控除との併用もできません。
3,000万円控除を利用する際の注意点として、自宅を対象とした制度であるということです。仮に住まなくなった自宅の場合は、住まなくなったときから3年目の年末までの売却が対象です。現在空き家になっていたとしても、他人に貸していたとしても対象になります。しかし、家を取り壊した場合には注意が必要で、取り壊した日から1年以内に売買契約を交わす必要があります。
・自宅の買換え特例
2019年12月31日までに売却して自宅を買い換えたときには一定の要件のもと、譲渡益に対して特例が適用されます。
新たに購入した住宅が売却した住宅よりも高い場合と安い場合で異なります。
1.売却価格より高い住宅に買い換えた場合
売却によって発生した譲渡所得の課税は次回の売却まで繰り越されまる。あくまでも一時的に税金の課税対象とならないだけなので、買い換えた住宅を売却するときにはその住宅単体の売却益に対して加算されることになります。
2.売却価格より安い住宅に買い換えた場合
売却価格よりも安い住宅に買い換えた場合にはその差額を収入金額として譲渡所得の金額を以下の式で計算します。
(1) 収入金額の計算
・売った金額−買い換えた金額
(2) 必要経費の計算
・(売ったマイホームの取得費+譲渡費用)×((1)÷売った金額)
(3) 譲渡所得の計算
・(1)−(2)
となり、概ね売却益と新たに購入した金額とを相殺できる制度となります。この制度を適用するには、売却代金や居住期間、土地の面積、建物の面積、買い換えの期間、売却先など様々な要件があります。
少々ややこしい制度なので詳しい適用要件などは下記の国税庁のHPを参照してください。
No.3362 居住用財産の買換えの特例を受けて買い換えた資産の取得価額とされる金額の計算
No.3358 売った金額より少ない金額でマイホームを買い換えたとき
上記を確認の上、適用できる場合には適用要件を証明できる書類を添えて確定申告をする必要があります。
それぞれの制度は併用できるもの、できないものがあります。不動産の価格や自宅・非自宅でも異なってきますので、もしご不明な点がありましたらお気軽にご相談下さい。