マンションを売却する時、購入時より高く売れたら、その分が利益として全部手元に残るというイメージがありますよね。しかし実際には、全部が手元に残るわけではなく、売却時には色々と費用がかかるんです。
ではその費用にはどういったものがあるのでしょうか。また、いくらくらいかかるものなのでしょうか。
ではマンション売却時にはどういった費用がかかるものなのでしょうか。まず、マンションの売却の流れを見ておきましょう。
マンションを売却するには、仲介業者などにマンションを売ってもらうように依頼をします。そこでマンションを売ってもらいますが、より力を入れてもらうためには、広告をうってもらうこともあるでしょう。売却相手が見つかったら契約となりますが、その際に仲介手数料を支払い、決済、引き渡しとなります。
それでは、流れにそってかかってくる費用を見てみましょう。
まず、売却に出す前にお部屋を綺麗にしておく必要があるので、クリーニング費用がかかる場合があります。場合によってはリフォームをすることになるので、リフォーム費用がかかる場合もあります。こちらは必須ではないですし、クリーニングやリフォームをしたからといって高く売れるというわけではありません。
ただ、内装がキレイなほうが印象がいいのは事実です。ちょっとした壁や床のキズ、汚れなど、あるかないかで印象は変わってきます。
クリーニング費用の相場は、大体1Kで20,000~40,000円、1LDK~2LDKで35,000~70,000円、3~4LDKで70,000~120,000円、になります。
こちらも必須ではないですが、なかなかいい買い手が見つからない時など、場合によっては広告費を払うこともあるでしょう。仲介業者が勝手に広告を出して後から請求されるようなことは禁止されているためありませんが、もし反響があまり良くない場合は、『チラシを配りませんか?』というような提案を受けることもあります。
買い手が決まったら、不動産仲介業者に仲介手数料を払うことになります。仲介手数料には上限があり、
売買価格×3%+6万円
が上限になっています。これ以上を請求されることはありませんし、仲介業者によっては売り手ではなく買い手からも手数料をとるところがあるので、その分売り手の手数料が低かったり、場合によっては無料のところもあります。
仲介手数料は、決済時にまとめて支払うところと、契約が決まった時に先に半額支払い、決済時に残りの半額を支払うところがあります。
不動産を売買することで、不動産の所有権移転登記や住所変更登記、抵当権抹消登記などの手続きをおこなう必要があります。住所変更登記と、抵当権抹消登記は司法書士に依頼することになるので、手続き自体にかかる費用と司法書士に依頼する費用を負担することになります。手続きはそれぞれ1つの不動産につき1,000円になります。司法書士に払う費用はだいたい10,000~30,000円になります。
不動産を売買する際には、契約書に収入印紙を貼ります。
収入印紙の税額は、売買価格ごとによって変わってきます。
契約金額 | 本則税率 |
10万円を超え、50万円以下 | 400円 |
50万円を超え、100万円以下 | 1千円 |
100万円を超え、500万円以下 | 2千円 |
500万円を超え、1千万円以下 | 1万円 |
1千万円を超え、5千万円以下 | 2万円 |
5千万円を超え、1億円以下 | 6万円 |
1億円を超え、5億円以下 | 10万円 |
5億円を超え、10億円以下 | 20万円 |
10億円を超え、50億円以下 | 40万円 |
50億円を超える場合 | 60万円 |
1,000万円を超えると2万円、5,000万円を超えると6万円がかかることになります。
以上がマンションの売買にかかる直接的な費用になりますが、その他にもよくかかる費用や、翌年以降にかかる費用もあります。
マンションを売る際、先に新しい家を見つけている場合と、とりあえず売ることを優先して一度引っ越しをし、その後ゆっくり新しい家を探す場合があります。どちらにせよ一度は引っ越しをする必要があり、業者に依頼する場合は引っ越し費用がかかってきます。
業者の費用は、2~4月の引っ越しシーズンだと割高になったり、午前中か午後か、どれくらい荷物があるかによって大きく変わってくるので、見積もりサイトなどで一度見積もりしてみましょう。
一度仮住まいを探して2回引っ越しをするのは手間ですし、費用が高くつくようにも思えますが、マンションを『空き家』状態にすることで、買い手がしっかり内覧できて即決してもらえやすいというメリットもあります。
どちらにせよ引っ越し費用がかかるので、頭に入れておきましょう。
マンションを売却し、利益が出ると、収入があったとして
・譲渡取得税
・住民税
の税金が発生することになります。
また、2035年までは
・復興特別所得税
という税金が発生します。
譲渡取得とは、不動産の売買において利益が出た場合に課せられる税金です。利益が出ない時はかかりません。
計算方法は、
譲渡所得=売却価格-(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)-特別控除
譲渡所得税=譲渡所得×税率
になります。
特別控除については後ほどご紹介します。
税率は不動産の所有期間が5年以下か、5年を超えるかで変わってきます。
所有期間 | 区分 | 税率 |
5年以下 | 短期譲渡所得 | 30.630% |
5年超 | 長期譲渡所得 | 15.315% |
住民税も譲渡取得税と同じく、所有期間が5年以下かそれ以上かで変わってきます。
ただ、住民税についてはこちらで計算する必要はなく、確定申告の際に所得税の申告をすれば、住民税の申告も済ませたことになります。
復興特別取得税とは、東日本大震災からの復興の財源を確保するために施行された制度で、2035年までは施行される予定です。
マンションを売却して利益が出た場合、税率2.1%で税金がかかることになります。
計算式は、
復興特別所得税=基準所得税(譲渡所得税)× 税率(2.1%)
になります。
これは譲渡取得税や住民税とは別で計算するので、譲渡取得税を計算する時に2.1%を上乗せしないようにしましょう。
マンション、中でもマイホームを売却する場合、所有期間に関係なく、譲渡取得から最高3,000万円まで控除される特例があります。
この特例を受けるための条件としては、
・売り手がマイホームとして住んでいた
・売り手と買い手が親子や夫婦ではない
などがあります。他にもいくつか条件がありますが、この特別控除が利用できると、
譲渡所得=売却価格-(購入価格+購入時の諸経費+売却時の諸経費)-3,000万円
となり、利益から諸経費を引き、その金額が3,000万円を超えない場合は譲渡取得税がかからないことになります。
また、この特例を利用して譲渡取得が0円になると、復興特別取得税もかからないことになります。
その他、マイホームを買い替えた際は、買い替えの特例というものもあります。マイホームを売却した前年もしくは翌年までに新しいマイホームを購入した場合、一定の条件を満たせば税金を将来に繰り延べることができます。
例えば、今回のマンション売却で利益が4,000万円出たとします。特別控除を利用しても税金がかかりますが、マイホームをすぐに買い替えた場合は、新しいマンションを将来売却する時まで繰り延べることができるんです。
マンションを売却する際は、購入した時の価格よりも高く売れれば、それが利益として手元に全て残る気がしますよね。
しかし実際には、不動産業者に支払う仲介手数料、手続きにかかる諸経費、司法書士に支払う依頼費などがかかってきます。
また、場合によってはリフォーム費やクリーニング費がかかることもあります。新しい家に引っ越す時の引っ越し費用もかかるでしょう。
利益が大きい場合は翌年に税金がかかることになります。
利益がそのまま手元に残るわけではないですが、特別控除などを利用したり、仲介手数料が安い業者を選ぶことで、低く抑えることは可能です。
どこに依頼したらいいか悩まれている方は、一度お気軽にお問い合わせください。