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マンション売却時の減価償却の計算方法

売却2019.07.24

マンションを売却して利益が出ると、税金を支払う必要があります。せっかく利益が出たのに税金を支払うなんて、と思うかもしれませんが、マンションの売却時には減価償却というものがあります。減価償却とは、分かりやすく言うと、マンションの築年数が上がるほど不動産の価値が下がり、その分税金が安くなる、というものです。

では、減価償却では具体的にどれくらい税金を安くすることができるのでしょうか。

減価償却とは

減価償却とは、もともと不動産だけでなく、車や事業用の機械などにも用いられ、耐久年数に応じて費用を分割化することを指します。例えば、事業用の車を200万円で購入したとします。しかしこの車は1年や2年乗って終わりではなく、その後何年か乗る予定で購入していますよね。そのため、最初の1年で費用を計上するのではなく、使う年数に応じて毎年少しずつ計上していく、というのが減価償却の考えになります。

プライベート用の車などを購入する場合はあまりピンとこないかもしれませんが、事業用の時は特に、費用を計上するというのは、つまりその分「その年にこのくらいお金を使ったので、利益からその分を引いて税金を計算しますね」ということになります。購入した最初の年だけドンと費用を計上すると、その年は税金がグッと安くなるかもしれませんが、毎年毎年使っていくものなので、毎年ちょっとずつ費用を計上したほうが、トータルでの税金を抑えられることもあります。

この減価償却の考えは、費用を分割化するという他に、資産を評価する時にも使われます。先ほどの200万円の車は、1年使った後でも変わらず200万円の価値があるでしょうか。答えはNoですよね。例えばその車が10年で償却するとしたら、1年後には20万円の評価価値が下がり、180万円、2年後には160万円、と評価価値がどんどん下がっていきます。

譲渡所得税と減価償却の関係

ではこの減価償却が、譲渡所得税にどのように関係してくるのでしょうか。

譲渡所得税とは、マンションを売却して利益が出た際に支払う税金です。

譲渡所得税を計算する時は、他の税金と違ってマンションをどれくらい所有したかによって税率が変わってきます。所有した期間は、マンションを売却した年の1月1日の時点で、5年を超えているかどうかが境目になります。


所有期間

区分

税率

5年以下

短期譲渡所得

30.630%

5年超

長期譲渡所得

15.315%


5年以内の場合は30.63%、5年を超えている場合は15.315%になります。

ではこの税率がマンションを売却した時の利益全額にかかるのかというと、そうではありません。まずマンションが売却できた際に得られる「譲渡価格」があります。そしてマンションを売却する際には、不動産会社に仲介手数料を払ったり司法書士に手数料を払ったり、印紙税などの費用がかかり、これを「譲渡費用」と言います。最後に、もともとマンションを購入した時(もしくは相続したなど)にかかった「取得費」があります。


税金がかかる課税譲渡所得とは、

課税譲渡所得=譲渡価格-譲渡費用-取得費

になります。

分かりやすく言うと、マンションが売れた金額から、最初に買った時の金額と、マンションを売る時にかかった金額を引く、ということですね。

ここで、減価償却がどこに関係してくるかというと、マンションを購入した時にかかった「取得費」です。課税譲渡所得を計算する時は、実際に購入した金額ではなく、マンションを売却した時点での評価価格で計算されます。 

マンションの減価償却の計算方法

では、マンションの減価償却はどのように計算されるのでしょうか。

減価償却には、定額法と定率法があります。平成28年4月1日以降に取得したマンションについては、定額法しか認められていないので、ここでは定額法をご紹介します。

 

減価償却費 = 建物購入代金×0.9×償却率×経過年数

 

1つずつ見ていきましょう。

建物購入代

建物購入代なので、あくまでマンションの建物の購入代金になります。土地の購入金額は含めないので注意しましょう。

償却率

償却率とは1年ごとに喪失する価値の指標です。法定耐用年数によって決まり、マンションの場合は耐用年数は用途と構造、築年数によって変わってきます。

主にマンションで使用される構造と法定耐用年数は下記のとおりです。


構造

法定耐用年数

木造・合成樹脂造のもの

22年

木骨モルタル造のもの

20年

鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの

47年


マンション売却時の耐用年数は、この法定耐用年数から経過年数を引いた数に、0.8をかけた数次になります。

例えば、コンクリートの築10年のマンションだとしたら、

(法定耐用年数47年-10年)×0.8=耐用年数29年

になります。

この時、端数は切り捨て、もし耐用年数が1年に満たない場合は「2年」で計算することになります。

経過年数が法定耐用年数を超えている場合は、「法定耐用年数×0.2」で計算します。

経過年数

最後の経過年数は、築年数ではなく、マンションを購入した時から何年経っているか、ということです。1年未満の数は切り捨てることになるので、「10年1ヶ月」の場合は1ヵ月は切り捨てて10年で計算します。

建物購入代の調べ方

マンションの建物購入代の調べ方は、売買契約書の金額を参照するのが原則です。

マンションを購入した時に作成した、売買契約書を参照してみましょう。

もし売買契約書が見つからない場合、

・全部事項証明書(住宅ローン契約書のコピーやローンの償還表、抵当権の設定金額がわかるもの)

・購入の際に不動産会社から提示された金額が記載された書類

などがあれば、購入代を推定して認められるケースもあります。これらをもって、税務署に相談に行ってみましょう。

 

売買契約書に、もし土地と建物の金額が分けて記載されている場合は建物の金額だけ参照すればいいですが、一緒になっている場合、消費税の記載があるかどうかを確認します。

土地には消費税がかからないので、消費税がかかっている金額から逆算することで、建物だけの金額を割り出すことができます。

 

消費税の記載がない場合

 

もし売買契約書に消費税の記載もない場合、標準建築単価から建物価格を推測できます。標準建築単価とは、国土交通省が毎年出している1㎡あたりの工事費の平均金額です。

マンションの床面積が分かれば、マンションの構造と築年数に該当する単価を調べることで、だいたいのマンションの購入費が分かります。

標準建築単価は、国税庁のホームページに記載されています。

 

また、他には固定資産税評価額から調べる方法もあります。固定資産税は、建物と土地で分けて課税されるので、「土地評価額と建物評価額の比率」を参照して計算することができます。ただ、計算はとても複雑になるので、不動産関係に詳しい税理士に相談するのがおすすめです。

 

取得費が分からない場合

 

マンションを売却した時の取得費が分からない場合、マンション売却金額の5%を概算取得費として計算することができます

もし書類が残っているけど、5%で計算したほうが取得費が高くなる場合、きちんと書類を提出したほうが損することになってしまいます。

その場合、あえて書類は提出せず、5%で計算しても大丈夫です。

まとめ

マンションを売却した時、出た利益全額に対して税金がかかるのでは、と不安になられる方もいますが、マンション売却時にかかった仲介手数料や印紙代などの費用を引き、さらに減価償却も考慮されることになります。

計算自体は複雑なものではないですが、マンションの建物購入代が分からない場合などは計算が難しくなってくるので、もし不明な点がある場合はお気軽にお問い合わせください。

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