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マンションで売却損(赤字)が出たときに使える税金の特例

売却2019.07.24

マンションを売却した時、利益が出ると所得税や住民税を支払う必要があります。逆に、売却損が出て赤字になった場合は、確定申告をして特別控除を受けることができます。

マイホームを手放すことになり、さらに売却損が出たら悲しいですが、せっかくなのでしっかり特別控除は受けたいですよね。

では特別控除とは、どんな内容なのでしょうか。また、特別控除を受けるための条件には何があるのでしょうか。

売却損の計算方法

マンションの売却損を計算するのには、単純に購入した時の金額から売却した時の金額を引くだけではありません。

マンションの売却損を計算するには、

売却損 = 売却代金 – (取得費 + 譲渡費用)

で計算します。


取得費とは、マンションを購入した時の金額を減価償却したもので、譲渡費用にはマンションを売却した時にかかった費用(仲介手数料や司法書士に払った費用など)を当てはめます。

例えば5,000万円で購入したマンションに7年住み、その後2,000万円で売却(譲渡費用は100万円)の場合を見てみましょう。


売却代金→2,000万円

減価償却費→購入代金5,000万円×0.9×償却率0.031 × 経過年数7年= 9,765,000円

取得費→購入代金5,000万円–減価償却費976万5,000円=4,023万5,000円

譲渡費用→100万円

売却損=2,000万円 –(4,023万5,000円+100万円)=マイナス2,123万5,000円

 

つまり、売却損は2,123万5,000円になります。 

マンション売却で損が出た際の特別控除は2つある

マンション売却で損が出た場合に受けられる特別控除には、「損益通算」と「繰越控除」の2種類があります。

損益通算は、マンションを売却した年の所得と相殺し、所得税や住民税を安く抑えることができる特別控除です。さらに、その年だけで相殺しきれない場合は、繰越控除によって、売った年の翌年から最長3年間の所得まで相殺して控除を適用することができます。売った年も入れると4年ということになります。

例えば、売却損が2,000万円出たとして、毎年の所得が600万円だとします。

売却した年は2,000万円のうち所得の600万円分全て損益通算することができます。しかしそれでも1,400万円の損失分が残っているので、翌年にも600万円、その翌年も600万円、4年目は200万円分残っているので、200万円を損益通算することができます。このように翌年に繰り越して控除できることを、繰越控除と言います。

繰越控除にはマイホーム買い替えとそうでない時の2タイプある

マンションを売却する際は、大きく分けてマイホームを買い替える時と、単純に売却する時があります。マイホームを買い替える時の繰越控除は「マイホームの買換えの場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と言い、単純に売却する時の繰越控除は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例」と言います。それぞれ、少し条件が変わってくるので見ていきましょう。

マイホーム買い替えの際の繰越控除

マイホームを買い替える際の繰越控除では、下記の条件を満たしている必要があります。

 

マンションの所有期間が5年を超えていること

 

まず、売却するマンションの所有期間が5年を超えていることが条件になります。売却する時点で5年ではなく、売却する年の1月1日の時点で5年を超えている必要があるので、注意が必要です。また、マイホームという条件なので、自分が住んでいた、もしくは途中から住んでいない場合は住まなくなってから3年目の12月31日までに売却する必要があります。

 

合計所得が3,000万円未満

 

この特例を受けるためには、合計所得が3,000万円未満である必要があります。

 

敷地面積が500㎡まで

 

この特例が適用されるのは、敷地面積500㎡までです。それ以上広い敷地の場合、500㎡まで適用され、それ以上は適用外になります。

 

買い替え先のマンションについて

 

この特例を受けるためには、買い替え先のマンションにも少し条件があります。

・10年以上のローンを組んで購入していること

・旧マンションを売却した年の前年1月1日から、翌年12月31日までに新しいマンションを購入すること

・購入した年の翌年12月31日までに入居するか、入居する見込みがある

・床面積が500㎡以内であること

 

住宅ローン控除とは併用できる?

 

繰越控除と住宅ローン控除は併用することができます。

ただ、住宅ローン控除は課税対象となる所得があることが前提なので、繰越控除によって課税対象の所得がなくなった年は、住宅ローン控除は受けることができません。

また、マンションを売却した前年と前々年に下記の特例を受けている場合は、繰越控除を受けることができません。

・所有期間10年超の場合の軽減税率の特例

・3000万円特別控除

・買換え特例

単純に売却する際の繰越控除

 

単純に売却する際の繰越控除でも、基本的にマイホーム買い替えの際の条件は満たす必要があります。ただ、敷地面積500㎡までという条件は満たさなくて大丈夫です。

さらに、単純に売却する際は下記の条件も満たしている必要があります。

 

・売却の前日の時点で、返済期間10年以上の住宅ローンが残っていること

・売却価格が住宅ローンの残高を下回っていること

 

この条件を満たしていれば、マイホームを買い替えず、例えば賃貸や実家に引っ越したとしても、繰越控除を受けることができます。

確定申告を忘れないように

マンションを売却によって利益が出た場合、売主は確定申告をして所得税を支払う義務があります。一方、損失が出た場合は、確定申告をする義務はありませんが、控除を受けるためには確定申告が必要になります。

 

会社に勤めている方は確定申告は馴染みがなく、手間に思えるかもしれませんが、確定申告をしないと還付金などを受け取れず、場合によっては数百万円もの還付金を見逃してしまうかもしれません。

また、損益通算だけでなく2年目以降の繰越控除の際も確定申告が必要ですので、忘れないようにしましょう。

まとめ

マンションを売却で売却損が出た場合は、所得税や住民税を減らしたり、場合によっては0円にできる損益通算をすることができます。売却損が大きい場合、翌年に繰り越して損益通算できる繰越控除もあります。

ただ、これらの控除を受けるためには、確定申告をする必要があります。

確定申告をしたことがない方は何から始めていいか分からないかもしれませんが、お困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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