今お住いのマンションで、建替えを行うことが話し合われている場合、最終的にマンションの建替えを行うには2種類の方法があります。
1つ目は、民法にのっとった「全員合意」による建替えです。これは区分所有者全員による100%の合意によって行う建替えです。
2つ目は、区分所有法にのっとった「建替え決議」による建替えです。これは、総会で区分所有者の5分の4(80%)以上の賛成を決議し、行う建替えです。
(※団地などだと各棟3分の2以上といった条件が追加されます。)
全員合意の場合は、そもそも全員が同意しているため、そのまま建替えを進めていくことができます。しかし、区分所有者全員が同意するということは、そう簡単にできることではありません。普段の総会決議などでもご経験だとは思いますが、ほぼ必ず未同意の区分所有者は出てきます。そのような場合にも、ある一定以上の同意を得ることを条件に、マンション全体の利益を優先させて建替えを行うことができるように法整備がなされています。
それが、前述の区分所有法にのっとった「建替え決議」であり、5分の4以上の賛成があれば、未同意の区分所有者に対して、権利を強制的に買い取ることで、全員が同意した状態を作り出すことができます。(売渡し請求といいます)
しかし、未同意の区分所有者の権利を強制的に買い取る事ができる一方で、それを満たすための条件(手続きや議案の内容など)は法律で細かく定められています。
もし、その手続き等に不備があれば、建替え決議自体が無効になる可能性もありますので、専門家に相談して、不備の内容進めていく必要があります。
この手続きに関しては、国土交通省がまとめている「マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニュアル」でまとめられていますが、その概要を説明します。
前述の建替え決議は、管理組合においてマンションの建替えを最終的に判断する場合の手続きについてですが、そこまでには数多くのステップを必要とします。
・(ステップ1)準備段階:
区分所有者の有志による建替えの勉強及び発意を行い、マンション全体に提起する。
・(ステップ2)検討段階:
管理組合として、建替えを進めていくかどうかを修繕・改修との比較を含めて検討する。
・(ステップ3)計画段階:
管理組合として、建替えに向けて具体的な計画を練り、区分所有者の合意形成を図る。
これらのゴールとして、マンションの「建替え決議」を行い、建替え自体を行うことになります。