マンションを売却する際、実際に住んでいたマンションを売却するのと、投資用のマンションを売却するのでは、手順や価格の決め方が変わってきます。売却するおおまかな手順は居住用と変わりませんが、査定方法やアプローチ方法が変わってきます。
では投資用マンションを売却する際に気をつけるポイントや注意点など、何があるのでしょうか。
居住用のマンションと投資用のマンションで、購入者の意識は大きく変わってきます。
居住用のマンションであれば、実際にそこに住むことが前提になるため、日当たりがいいかどうか、風通しがいいかどうか、住み心地はどうか、などといったことが一番気になります。自分や家族が実際にそこに住むことを想像し、実際にどれくらいの家賃なら払えそうか、といった予算を目安にマンションを決めていくことになるでしょう。
しかし投資用は、買主がそこに住むわけではありません。買主は、そのマンションを購入することで、どれだけの利益が得られるか、という視点でマンションを見ています。もちろん、どういったマンションであれば借主が見つかりやすいか、ということで、日当たりや風通しなどを見ることもありますが、一番は「利回り」です。
過去、そのマンションの利回りがどうだったのか、そのマンションを購入したら、その後どのくらいの利益が見込めるのか、ということを見ています。いくら日当たりがよくても、築浅でキレイなマンションであっても、利回りが低くては投資家にはなかなか選ばれません。
そのため、居住用として見たらどんなにいいマンションであっても、利回りが低いばかりに買い手がなかなか見つからない、ということが十分起こり得ます。
投資用マンションを買ってもらうためには、利回りの良さが重要になってきますが、利回りが良くても売れ残ってしまうこともあります。それは、築年数が経っているマンションです。築年数が40年、50年と経過しているマンションでは、耐震性の面でも購入をためらってしまいます。
居住用でも投資用でも、マンションを購入するということは「資産」を持つということは一緒です。ただ、居住用であれば、築40年でも50年でもリフォームやリノベーションをすればまだまだ住み続けられます。しかし投資用となると、借り手が見つからなくなるのではないか、家賃をどんどん下げなければならないのではないか、もし売却しようと思った時に買い手が見つからないのではないか、という心配もあり、購入を見送られてしまう可能性が高くなります。
そのため、利回りがいいというだけでは、買い手が見つかるかどうか分からないのです。
投資用マンションを売却するのであれば、価格設定が重要になってきます。
価格が高いと、その分元を取るまでに時間がかかってしまうので、利回りは低くなります。あまり利回りが低いと投資家の目に留まりにくくなりますし、かといって価格を低くし過ぎてしまうと、売主側の利益が減ってしまいます。大事なのはバランスです。
例えば、古くて築年数が経っている、駅から遠いというような場合、価格を下げて利回りをよくしたほうがいいでしょう。逆に、築浅で立地もいいマンションであれば、この先築年数が経っても家賃は下がりにくいので、少し高くて利回りが落ちても、購入したいという人は多いです。
このあたりの判断は個人で決めるのは難しいため、できれば不動産会社と相談するのがいいでしょう。
居住用のマンションを売却する、というのであれば、家族構成が変わった、仕事の都合で引越しが必要になった、という理由が多いですが、投資用のマンションを売却する場合、投資家自身が住むわけではないので、どちらかというと「家賃が下がってきてローンの返済がキツい」「空室率が高くて家賃収入が得られない」といった、マイナスの理由である可能性もあります。
そういった場合、売却したとしてもなかなか買い手が見つからない場合があります。というのも、売却する際、空室率も見られるからです。空室率が高いと、投資家も購入を見送ってしまいますよね。
そういった、条件が悪くて手放すような場合、買い手を見つけるのは大変だったりするので、売却ではなく買取という手段もあります。買取の場合、売却と比べると価格は下がってしまいます。しかしメリットとしては、確実に短期間でお金が手元に入るということと、仲介手数料がないこと、リフォームの必要がないこと、瑕疵担保責任を負わなくていい、ということが挙げられます。
売却だと買い手が見つかるまで売れないので、それまでお金は入ってきません。人気の物件であればすぐに売れる可能性がありますが、条件が悪い場合、何ヶ月も売れない可能性があります。その間もローンの返済は続くので、早く手放したい、確実にお金を手に入れたいという場合は買取のほうがおすすめです。
売却の場合、不動産会社に買い手を見つけてもらうことになるので、売却できた際には仲介手数料がかかります。金額としては、売却価格×3%+6万円がかかります。3,000万円で売却した場合、96万円を仲介手数料として払うことになります。買取の場合、それがかからないことになります。
リフォームが必要な場合、売却だと売主がリフォーム代を負担することになります。しかし買取の場合、買い取った不動産会社がリフォームを行うので、リフォーム代がかかりません。
瑕疵とは、売却の時点で目に見えない欠陥のことです。売却の場合、買主は床や壁などは確認できますが、排水管などの老朽化は確認することができません。購入してすぐ水漏れなどが起きたら、買主としては負担が大きいですよね。そこで、売却してからしばらくは売主がその瑕疵の責任を負うということで、瑕疵担保責任というものを設定します。しかし買取の場合、この瑕疵担保責任を負わなくていいので、マンションを手放してしまえばその後何かあっても、修理費など請求されることはありません。
投資用のマンションも、居住用のマンションも、売却する手順などは大きく変わりませんが、価格設定の仕方などが変わってきます。
また、居住用のマンションと違い、投資用のマンションを手放す時は、空室率が高かったり利回りが低くて手放すことが多いです。そのような場合、投資家も購入をためらい、なかなか買い手が見つからないということもあります。そんな時は、売却ではなく買取という方法もあるので、なかなか買い手が見つからない方は検討してみましょう。