不動産購入・売却のお役立ち記事・ブログ
>マンション売却において、確定申告が必要なケースと不要なケースの違いは?

マンション売却において、確定申告が必要なケースと不要なケースの違いは?

売却2019.11.10

マンションの売却は、人生においてそう何度もあるものではありません。はじめて売却する、という方が多くなりますが、気をつけたいのが確定申告です。

マンション売却において、確定申告は必ずしも必要なわけではないですが、確定申告が必要なのにしていなかった場合、税金を納めていないとして税務署から連絡が来てしまいますし、確定申告をすれば税金が安くなっていたのに見落としていた、という場合もあります。

では、マンション売却をした際、確定申告が必要なケースと不要なケースでは何が違うのでしょうか。

確定申告とは

そもそも確定申告とは、所得を申告し、税金を確定させることです。日本では、その人の所得の金額によって、納める税金の金額が変わってきます。

会社に勤めている方であれば、普段自分で確定申告をすることはほとんどありませんが、自営業の方は毎年確定申告をして、翌年に納める税金の金額を決めます。

不動産売却をした場合、売却することによって利益が出ることがあります。この利益は個人の所得として見なされるため、会社員の方であっても自営業の方であっても、所得を上乗せして申告する必要があります。

不動産売却における所得とは

では不動産売却をした際、「所得」とはいくらになるのでしょうか。

例えば3,000万円でマンションが売却できたら、3,000万円の所得が発生したことになるのでしょうか。実は不動産売却の所得は、下記のように計算されます。

 

所得(課税譲渡所得)=譲渡価額(売却額)-取得費-譲渡費用

 

取得費とは、そのマンションを購入した時にかかった費用から、減価償却費を控除したものになります。

減価償却とは、会計処理上の概念で、長期間にわたって使用される固定資産税を取得した場合、その費用を取得した年に全額計上するのではなく、その資産が使用できる期間にわたって何年かに分けて計上することを言います。個人ではあまり利用されませんが、会社などでは社用車や機械など大きな買い物をすることはよくあります。そういった時に、その年に全額計上してしまうより、何年かに分けて計上しがほうが税金が安くなるため、減価償却を利用します。


例えば、マンションを4,000万円で購入していたとして、減価償却費が300万円の場合、取得費は3,700万円になります。

また、減価償却費は建物のみの発生し、土地には発生しません。計算はこちらに詳しく記載していますので、気になる方はぜひ参考になさってください。

 

譲渡費用とは、マンションを売却した際にかかった、仲介手数料等などの費用になります。例えば、3,000万円でマンションを売却した場合、仲介手数料は一般的には96万円かかります。

課税譲渡所得の計算例

では実際に、所得の計算をしてみましょう。

 

購入時は4,000万円だったマンションを、3,000万円で売却したとします。減価償却費は300万円、譲渡費用が100万円だったとします。

課税譲渡所得は、3,000万円-(4,000万円-300万円)-100万円=-800万円

ということになります。

 

この場合、課税譲渡所得はマイナスになるため、確定申告は必要ありません。ただ、条件を満たせば税金が安くなることもあるので、それについては後述します。

確定申告が必要な人は所得が発生した人だけ?

先ほどの例では課税譲渡所得がマイナスでしたが、場合によっては購入時よりマンションが値上がりしていることもありますよね。その場合、課税譲渡所得がプラスになることがあります。


例えば、先ほどの例で購入したマンションが、売る時に5,000万円になっていたとします。その場合、課税譲渡所得は下記のようになります。

5,000万円-(4,000万円-300万円)-100万円=1,200万円

この場合は、所得が発生したとみなされ、所得に対して所得税が発生するので、確定申告が必要になります。

所得税はいくら発生する?

では所得税は、どのくらい発生するのでしょうか。

所得税は、課税譲渡所得×税率、で計算されますが、税率はマンションの所有期間によって変わってきます。


所有期間

所得税

5年以下

30%

5年超

15%


 

先ほどの例で、1,200万円の課税譲渡所得が発生した場合を見ると、

所有期間5年以下:1,200万円×30%=360万円

所有期間5年超え:1,200万円×15%=180万円

となります。

住民税も発生する

マンション売却によって課税譲渡所得が発生した場合、所得税だけでなく住民税も発生します。

住民税も、課税譲渡所得×税率、で計算され、所得税と同じようにマンションの所有期間で変わります。


所有期間

所得税

5年以下

9%

5年超

5%


 

先ほどの例で、1,200万円の課税譲渡所得が発生した場合を見ると、

所有期間5年以下:1,200万円×9%=108万円

所有期間5年超え:1,200万円×5%=60万円

となります。

確定申告が不要でも、したほうがいい人

課税譲渡所得がマイナスの場合、基本的には確定申告をする必要はありません。しかし、確定申告をすることで、源泉徴収の際にキャッシュバックを受けることができます

マンションの売却の理由が、買い替えなのか売却のみなのかで、利用できる特例が変わってきます。

確定申告の手続きが面倒だとしても、確定申告をすればお金が返ってくるので、できれば確定申告するようにしましょう。

特別控除で課税譲渡所得がマイナスになる場合

もし課税譲渡所得がプラスだったとしても、特別控除を利用してマイナスになる場合、所得税が免除されることになります。しかしこの特別控除を利用するために、確定申告が必要になります。

控除額は3,000万円なので、

課税譲渡所得=譲渡価格-取得費-譲渡費用-3,000万円

という計算で、これがマイナスとなれば、所得税がかからなくなります。

 

ただ、この特例は全員が受けられるだけでなく、下記の場合は適用することができません。

 

  • この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋
  • 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
  • 別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋

 

そうでなければ、特例を受けることができるので、もし課税譲渡所得がプラスになって所得税が発生しそうな場合はできるだけ特例を利用しましょう。

もし確定申告をあえてしなかったら?

では確定申告が必要なのが分かっていてしなかった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

もし確定申告が必要なことが分かっていたのにしなかった場合、「無申告加算税」が課せられます。納税額が大きいほど、支払う無申告加算税も高くなります。

 

さらに、本来支払うべきだった納税期間内にしはらっていないため、延滞税もかかります。

 

それでも放置していた場合、最終的には「財産の差し押さえ」が行われてしまいます。

 

もし納税が必要だと気づいていた、もしくは後から気づいた場合、すぐに申告し、納税するようにしましょう。

まとめ

マンション売却の際、必ずしも確定申告が必要というわけではありませんが、売却によって課税譲渡所得がプラスになった人は確定申告が必要になります。課税譲渡所得がプラスになると基本的には所得税などの税金がかかりますが、条件を満たせば特別控除を利用することもできます。特別控除を利用するのに確定申告が必要になるので、課税譲渡所得がプラスになった場合は確定申告が必要と思っておきましょう。


もし課税譲渡所得がマイナスになった場合、税金は発生しませんが、確定申告をすれば源泉徴収でキャッシュバックを受け取ることができます。

もし税金が発生するのに確定申告をしなかった場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課せられるので、注意しましょう。

不動産の売却に関する疑問やお悩みをお気軽にご相談ください
ホンネの不動産相談所は、不動産業界で業務経験をしたことのあるプロのアドバイザーが中立・公正な立場からお客様の相談をうけ、不動産に関するアドバイス、コンサルティングサポートを行うサービスです。電話・メールでのご相談は無料で承っております。
ご相談・お問い合わせはこちら
PAGE TOP
© HONNENOFUDOSANSOUDANSHO All RIGHT RESERVED.