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マンション売却、瑕疵担保責任の範囲の決め方

売却2019.07.30

マンションを売却する際、瑕疵担保責任、という言葉をしっかり理解しておく必要があります。もし瑕疵担保責任を負うことになってしまうと、何十万円、場合によっては百万円以上費用がかかってしまったり、損害賠償へと発展してしまう可能性もあります。

では瑕疵担保責任とはどのようなものなのでしょうか。

瑕疵担保責任とは

一般的に、瑕疵(かし)とは、本来備わっている機能や品質が備わっておらず、欠陥のある状態のことを言います。不動産においての瑕疵は、屋根が割れていたり、外壁が汚れていたり、外から見てあきらかに分かる不動産の欠陥のことを指します。

 

では瑕疵担保責任とは何でしょうか。

瑕疵担保責任は、そういった外から見て分からない欠陥(瑕疵)があった際に売り主が責任を負うことです。売り主が負う責任としては物件を補修したり損害賠償に応じる、ということになりますが、被害が大きい場合は契約の解除を求められることがあります。

ただ、損害賠償や契約の解除は、買い主がその瑕疵を本当に知らず、かつ買い主には落ち度がない場合になります。なんでもかんでも損害賠償、ということにはなりませんが、例えば雨漏りや白アリ被害などで瑕疵がひどい場合には、買い主としても「こんなつもりじゃなかった…」となりますよね。もちろん売り主が悪い、ということではありませんが、一定の期間は買い主が責任を負うことになります。

瑕疵担保責任はどのくらいの期間負う必要がある?

では瑕疵担保責任は、どのくらいの期間負う必要があるのでしょうか。民法では、瑕疵を発見してから1年以内であれば、売り主は瑕疵担保責任を負わなければなりません。ただし引き渡しから10年を過ぎていれば、売り主も瑕疵担保責任を負う必要はなくなります。

この原則を当てはめると、マンションを引き渡してから10年間は、売り主は買い主からの補修や損害賠償、契約解除に応じなければならなくなります。

しかし10年も経てば、マンションは劣化します。そもそも瑕疵とは、売買した時にはすでにあったものなのか、マンションの経年劣化によるものなのか、判断が難しいところもあります。

売り主は本当に10年も瑕疵担保責任を負う必要があるのでしょうか。

契約時に瑕疵担保責任の期間を決めよう

実際に10年も瑕疵担保責任を負うのは、買い主の負担が大きすぎます。

そのため、実際には売買契約を結ぶ際に瑕疵担保責任を負う期間を売買契約で決めることができます。例えば、瑕疵担保責任を負う期間を2カ月、と売買契約で決めておけば、2カ月を過ぎたら瑕疵担保責任を負わなくてもよくなります。

ただ、この期間設定は買い主から進んで提案されることはほとんどなく、あくまで売り主から提案し、同意を得てから契約を結ぶことがほとんどのため、忘れずにしっかり結ぶ必要があります。

売り主が個人の場合は2~3ヶ月が一般的

 

売り主が個人の場合は、瑕疵担保責任の期間は2~3ヶ月に設定して売買契約を結ぶことが一般的です。しかし、築年数がかなり経っている場合や、空室期間が長かった場合、買い主の同意が得られれば瑕疵担保責任を負わないという内容で売買契約を結ぶこともあります。

その場合、マンションを引き渡してしまえば、その後どんな瑕疵があったとしても、売り主は責任を負う必要はありません。

瑕疵担保責任がない場合は値下げ交渉される可能性も

瑕疵担保責任を負わない、という内容で売買契約を結びたい場合、どうしても買い主は不安になってしまいます。白アリ被害や雨漏り、配水管の詰まりなど、どうしても購入の時点では見つけられないものがほとんどです。そのため、もし瑕疵担保責任を負わない、と言われてしまったら、もし何かあった時のために、と値下げしてほしいと思うのが当然でしょう。

売り主も、もし瑕疵担保責任を負わない、という条件で売買契約を進めたい場合、値下げ交渉されたらいくらまでなら応じるか、ある程度考えておくようにしましょう。

売り主が不動産業者の場合は2年以上

売り主が不動産業者の場合、民法によって、瑕疵担保責任の期間は2年以上にしなければならない、と決められています。

そのため、不動産業者から買う場合は少なくても2年は瑕疵担保責任を負ってもらうことができます。

瑕疵担保責任の範囲を決める

売買契約の時に瑕疵担保責任の期間を決めることも大切ですが、範囲も同時に決めておきましょう。範囲とは、どのような瑕疵なら担保責任を負うか、ということです。

例えば、「白アリ被害、雨漏りについては引き渡し後3ヶ月担保責任を負う、それ以外は責任を負いません」というように、どのような瑕疵に対して担保責任を負うか、あらかじめ決めておくことです。そうしないと、「内覧の時には気づかなかった床のキズを直してほしい」と言われても応じなくていいですし、白アリ被害や雨漏りも3ヶ月を過ぎれば瑕疵担保責任を負う必要はありません。

ただし、白アリ被害や雨漏りなど、もし引き渡す前に売り主が気がついていたのに告知しなかった場合、瑕疵担保責任の期間を過ぎていても責任を負う必要があります。もしマンションの欠陥について気がついていたものがあれば、あらかじめ告知するようにしましょう。そうすれば、買い主はそれでも購入を決めたとして、その欠陥については後から責任を追及されることはありません。

保険で補うこともできる

瑕疵担保責任を負うことになった場合、瑕疵の内容によってはかなり高額な費用が発生することになります。これをカバーしてくれるのが、「既存住宅売買瑕疵保険」です。これは住宅瑕疵担保責任保険法人が扱う保険商品で、売り主が検査機関に検査を依頼することにより、瑕疵担保責任に伴う負担を保険金でカバーすることができます。

保険の対象になるのは、壁や柱などの「構造耐力上主要な部分」、窓や屋根などの「雨水の浸入を防止する部分」になります。保健期間は1年間、または5年間となり、支払限度額は500万円または1,000万円になります。

築年数が経っていて、いつ瑕疵が発見されてもおかしくない、という方や、築年数はそこまで経っていなくても、いざという時に瑕疵担保責任を負うのは負担が大きすぎる、と感じる方は、保険に加入するのもおすすめです。

まとめ

瑕疵担保責任とは、マンションを引き渡してから一定期間、瑕疵が見つかった場合に売り主が補修費用や損害賠償を負担するというものです。特になにも決めていないと、引き渡してから10年は瑕疵担保責任を負わなければならなくなります。

もしマンションを売ろうと思っている方は、売買契約の際に、瑕疵担保責任の期間、範囲をしっかり決めて売買契約を結ぶことをおすすめします。

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